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鈑金工場の代車の準備|わナンバーの許可・保険・管理のしかた

公開日:2026年10月7日 / 更新日:2026年10月7日 / 執筆:日本カーネット株式会社

鈑金工場が代車を用意するときの基本を解説。無償で貸す代車と、料金を取って貸す場合に要る自家用自動車有償貸渡の許可(わナンバー)の違い、許可基準の保険額、貸渡簿の記載事項、代車の点検と管理までを運輸局の資料に沿ってまとめました。

板金塗装の修理は、部品の取り寄せや塗装の乾燥を含めると数日から1週間以上かかることがあり、その間お客様の足がなくなります。代車を出せるかどうかは、修理先を選んでもらう理由の1つです。ただし、代車を無償で貸すのか、料金を取って貸すのかで、必要な手続きが変わります。この記事では、道路運送法第80条の有償貸渡の許可(わナンバー)について運輸局の公表資料に沿って整理し、保険と日々の管理、台数の考え方までを開業準備の順番でまとめます。

鈑金工場の代車とは(無償の代車と有償の貸出し)

鈑金工場の代車は、修理で車を預かっている間、お客様に貸す車のことです。工場名義の白ナンバー(自家用)の車を、修理の付帯サービスとして無償で貸す形であれば、料金のやり取りは生じません。一方、代車に料金を取って貸すと、それは自家用自動車を「有償で貸し渡す」ことになり、話が変わります。

道路運送法第80条第1項は、自家用自動車は国土交通大臣の許可を受けなければ、業として有償で貸し渡してはならないと定めています。和歌山運輸支局は、レンタカー業を「自動車を有料で貸し出す事業」と説明し、この条文により許可が必要だとしています。許可を受けて貸し出す車には、レンタカーを示す「わ」のナンバーが付きます。

比べる点 無償の代車(白ナンバー) 有償の貸出し(わナンバー)
料金 取らない 貸渡料金を取れる
許可 道路運送法第80条の許可の対象外(有償で業として貸す場合に許可が要るため) 自家用自動車有償貸渡の許可が要る
保険 工場とお客様の保険契約の内容による 許可基準で対人・対物・搭乗者の補償額が決まっている
記録 工場の判断で管理 貸渡簿の備え付けと2年間の保存、年1回の実績報告

代車に料金を取るかどうかで変わること

鈑金工場の代車は、無償で貸すか、料金を取って貸すかで扱いが分かれます。道路運送法第80条第1項は、自家用自動車を業として有償で貸し渡すには国土交通大臣の許可が要ると定めており、運輸支局の案内ではこの許可を受けた車を「わナンバー」で登録します。白ナンバーの代車を無償で貸すことは、この許可の対象ではありません。料金を取りたい、代車を売上にしたいと考えるなら、許可を受けてわナンバーで貸す形にする必要があります。どこからが有償にあたるかの判断に迷う料金の取り方を考えている場合は、許可を申請する先でもある管轄の運輸支局に事前に確かめておくと安全です。開業前の資金計画で代車を何台用意するかを決めるときも、この区別を先に決めておくと費用の見通しが立てやすくなります。

代車を有償で貸すための自家用自動車有償貸渡の許可(わナンバー)

許可の申請は、主たる事務所を管轄する運輸支局に出します。北陸信越運輸局新潟運輸支局の手引きでは、道路運送法施行規則第52条に基づき、申請書に次の事項を書き、貸渡料金と貸渡約款を記載した書類を添付するとしています。

同じ手引きが示す申請の流れは次のとおりです。

  1. 許可申請(標準処理期間1か月)
  2. 許可、許可書の交付
  3. 登録免許税(9万円)の納付(許可日より1か月以内)、保険加入、各種帳簿等の作成
  4. 車両の登録(わナンバー)

許可を受けたあとも、事業者の名称や住所、法人の役員、貸渡料金や約款を変えたときは事後の届出、事務所の新設や移転は事前の届出が要ります。毎年5月31日までに、前年4月1日から3月31日までの「貸渡実績報告書」を出す義務もあります。新潟運輸支局の手引きでは、レンタカーの増車・減車の届出は不要とされていますが、手続きは運輸局や時期によって変わることがあるので、申請先の運輸支局の案内で確かめてください。

わナンバーの許可を取るまでの期間と費用

自家用自動車有償貸渡の許可は、管轄の運輸支局に申請し、新潟運輸支局の手引きでは標準処理期間が1か月とされています。許可が出たら、許可日から1か月以内に登録免許税9万円を納め、保険に加入し、貸渡簿などの帳簿を作ってから、車両をわナンバーで登録します。北海道運輸局も、許可に対して登録免許税法に基づき9万円の登録免許税が課税されると案内しています。申請書には、貸渡しの実施計画と、貸渡料金・貸渡約款を書いた書類を付けるため、料金表と約款は申請前に用意しておく必要があります。開業と同時にわナンバーの代車を出したい場合は、申請から登録まで1か月以上を見込み、工場の開業日から逆算して準備を始めます。

わナンバーの許可基準と保険の条件

許可の審査基準は、国土交通省自動車局の通達「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」に示されています。北海道運輸局が掲載している通達(令和4年5月31日一部改正)では、申請者と役員が欠格事由に当たらないこと、申請日前2年以内に自動車運送事業経営類似行為で処分を受けていないことに加え、貸渡自動車の保険について次の補償額を求めています。

保険の種類 許可基準で求められる補償額
対人保険 1人当り 8,000万円以上
対物保険 1件当り 200万円以上
搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含む) 搭乗者1人当り 500万円以上

同じ通達は、許可に付ける条件として、貸渡料金と貸渡約款を事務所の掲示やウェブサイト、書面などで借受人に示すこと、運転者の労務供給(運転者の紹介やあっせんを含む)をしないこと、自分の名義を他人の貸渡しに使わせないことなども定めています。自家用バス(乗車定員30人以上又は車両長7m超)と霊柩車は貸し渡せません。

わナンバーの代車に求められる保険の補償額

わナンバーで代車を貸すには、許可基準として、貸渡自動車に十分な補償を行える自動車保険を付けることが求められます。国土交通省自動車局の通達では、対人保険が1人当り8,000万円以上、対物保険が1件当り200万円以上、搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険を含む)が1人当り500万円以上とされています。この条件は許可を受けるときだけでなく、許可に付く条件として事業を続ける間も守る必要があります。代車として使う車を入れ替えたり台数を増やしたりしたときは、新しい車にも同じ補償の保険が付いているかを、登録の前に確かめておきます。保険の契約内容は代車の台帳と一緒に保管しておくと、事故のときにすぐ確認できます。

代車の保険と事故のときの取り決め

無償の代車でも、事故が起きたときにどの保険で補償するかは、貸す前に決めておく必要があります。代車を運転するのはお客様なので、工場が代車に付けている保険と、お客様が自分の車に付けている保険の内容によって補償の範囲が変わります。誰が運転する場合に補償されるか(運転者の年齢や範囲の条件)は、契約ごとに違います。

わナンバーで貸す場合、国土交通省の通達は、借受人の損害賠償責任や営業補償責任の内容、貸渡人の保険や補償制度の内容、故障や事故、盗難のときの措置などの重要事項を、貸す前に利用者に示すよう努めることを、事業者への指導事項として挙げています。無償の代車でも、同じ項目を説明しておけば、事故のあとに揉める余地が小さくなります。修理代そのものを抑える工夫はリサイクルパーツの仕入れの記事で扱っています。

貸出し前に説明しておきたい重要事項

代車の事故で揉めやすいのは、誰がどこまで負担するかを貸す前に決めていなかった場合です。国土交通省自動車局のレンタカーの通達は、借受人の損害賠償責任と営業補償責任の内容、貸渡人の保険や補償制度の内容と条件、故障・事故・盗難のときの措置、違法駐車や返却が遅れる場合の措置を、貸渡しの前に利用者に示すよう指導することとしています。これはわナンバーの事業者向けの内容ですが、無償の代車でも同じ項目を1枚の書面にまとめ、貸出しのときに署名をもらっておけば、事故や違反のあとに確かめる材料になります。保険の運転者の範囲(年齢や家族の扱い)も、貸す相手を見て毎回確かめます。

代車の管理(貸出しの記録・点検・台帳)

代車は台数が少ないうちは記憶で回せても、3台、4台と増えると、誰にいつまで貸しているのか、次の点検はいつかが分からなくなります。わナンバーで貸す場合は、通達で貸渡簿を書面又は電磁的記録で備え、貸渡しの終了日から2年間保存することが条件になっています。貸渡簿に書く事項は次のとおりで、無償の代車の記録にもそのまま使えます。

わナンバーの場合は、借受人に貸渡証を交付し、運転者に携行するよう指示することも条件です。貸渡証には、貸渡期間が2日以上になる場合は日常点検を借受人が行うことになる旨を書くよう定められています。修理で数日預かる鈑金工場の代車では、この説明を貸出しのときに口頭でも伝えておきましょう。通達はまた、配置事務所の従業員などが貸渡しの状況と整備の状況を把握し、適確に管理することを求めています。

代車の台帳で管理する項目

鈑金工場の代車を管理する台帳には、車両ごとの情報と、貸出しごとの情報の2種類を持たせます。車両ごとには、登録番号、車検の満了日、保険の内容と満期、次の点検の予定を書きます。貸出しごとには、国土交通省の通達が貸渡簿の記載事項として定める、借受人と運転者の氏名・住所、運転免許の種類と番号、貸渡日時、走行キロ数、料金、事故の有無を書きます。わナンバーではこの貸渡簿を貸渡しの終了日から2年間保存することが条件ですが、無償の代車でも同じ項目で記録しておけば、駐車違反の通知や事故の問い合わせが後から来たときに、誰が乗っていたかをすぐに確かめられます。修理の伝票と代車の貸出しを同じシステムで結び付けておくと、返却の予定日も見落としにくくなります。

鈑金工場の代車の台数と準備の進め方

代車の台数に決まった正解はありません。同時に預かる修理の台数、修理にかかる日数、お客様のうち代車を求める人の割合で決まります。開業直後は、最低限の台数で始め、断った件数を記録しながら増やすかどうかを判断するほうが、使われない車の保険料や駐車場代を抱えずに済みます。代車の購入費を含めた資金の組み立ては鈑金塗装の開業資金の記事を参考にしてください。

代車を売上にしたい場合は、わナンバーでの貸出しが前提になります。日本カーネットの開業パックで提案しているわにゃふるカービジネスは、わナンバーで代車を貸し出して売上にする仕組みで、レンタカー事業の資格取得・準備が不要とされ、会員専用サイトで成功事例やノウハウを見られます。代車の準備は、日本カーネットが開業に必要となるもの10項目の1つに挙げている項目です。

代車の貸出しは、修理の受付や納車の予定と一緒に管理すると抜けが減ります。整備システム・整備ソフト DREAM POWERは、顧客管理・車両管理・伝票作成・入金管理に加えて代車管理の機能を持っています。見積や請求の流れは板金塗装の見積の作り方、開業までの順番は開業までの流れをご覧ください。料金は月額6,000円〜(税抜。別途、初期費用・ソフト費用が必要)で、詳しくはお問い合わせからご相談いただけます。

開業時の代車の準備手順

開業する鈑金工場が代車を準備する順番は、まず無償で貸すか有償で貸すかを決め、次に台数と車種、保険、管理の方法を決める流れです。有償で貸すなら、道路運送法第80条の許可の申請から、登録免許税9万円の納付、保険加入、帳簿の作成、わナンバーの登録までに、新潟運輸支局の手引きでいう標準処理期間1か月を含めた日数がかかります。無償で貸す場合も、保険の運転者の範囲、貸出しの書面、台帳の項目は開業前にそろえておきます。台数は最初から増やさず、代車がないために断った件数を記録しながら判断すると、保険料や駐車場代の負担を抑えられます。自社で許可を取る準備が負担なら、わにゃふるカービジネスのような仕組みを使う方法もあります。

よくある質問

代車を無償で貸すのに許可は要りますか。

道路運送法第80条第1項が許可を求めているのは、自家用自動車を業として有償で貸し渡す場合です。料金を取らずに修理の付帯サービスとして貸す代車は、この許可の対象ではありません。料金の取り方で判断に迷う場合は、管轄の運輸支局に確かめてください。

代車にガソリン代や1日いくらの料金をもらってもよいですか。

代車の貸出しに料金を取ると、自家用自動車の有償貸渡にあたり、国土交通大臣の許可(わナンバー)が要る形になります。料金を取りたい場合は許可を受けるか、許可の要らない形で貸せる仕組みを検討してください。

わナンバーの許可を取るにはどれくらいかかりますか。

新潟運輸支局の手引きでは、許可申請の標準処理期間が1か月で、許可後1か月以内に登録免許税9万円を納め、保険加入と帳簿の作成を済ませてから車両をわナンバーで登録します。保険は対人1人当り8,000万円以上、対物1件当り200万円以上、搭乗者1人当り500万円以上が許可基準です。

代車の管理に自動車整備システムは使えますか。

使えます。整備システム・整備ソフト DREAM POWERは、顧客管理・車両管理・伝票作成に加えて代車管理の機能を持ち、修理の伝票と代車の貸出しをまとめて扱えます。自動車整備ソフトや車両販売システムを比べるときは、整備システム比較の中で代車管理の有無と、リースなしで導入できるかも確かめておくと選びやすくなります。

わにゃふるカービジネスとは何ですか。

日本カーネットの開業パックで提案している代車のサービスで、わナンバーで代車を貸し出して売上にする仕組みです。レンタカー事業の資格取得・準備が不要とされ、会員専用サイトで成功事例やノウハウを見られます。詳しくはわにゃふるカービジネスのサイトをご覧ください。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。許認可や法令の個別の判断は、所管の官庁・自治体・専門家にご確認ください。

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