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自動車鈑金塗装の開業支援 > 開業コラム > 危険物の指定数量と少量危険物|塗料・シンナーの第4類の品名と届出・保管の基準

危険物の指定数量と少量危険物|塗料・シンナーの第4類の品名と届出・保管の基準

公開日:2026年10月24日 / 更新日:2026年10月24日 / 執筆:日本カーネット株式会社

塗料・シンナーの多くは危険物第4類で、第1石油類(非水溶性)の指定数量は200リットル、40リットル以上は少量危険物として消防署への届出が必要です。品名の見分け方、倍数の計算例、保管場所の基準を鈑金塗装工場向けに解説します。

塗料やシンナーの多くは消防法の第4類危険物(引火性液体)に当たり、品名ごとに指定数量が決まっています。たとえば第1石油類の非水溶性液体は200リットルで、その5分の1の40リットル以上を置くと「少量危険物」として市町村の火災予防条例による消防署への届出が必要になり、200リットル以上では許可を受けた危険物施設でなければ貯蔵できません。

この記事では、鈑金塗装工場で扱う塗料・シンナー・硬化剤がどの類と品名に当たるか、指定数量の一覧、品名が違う物を合わせる倍数の計算、少量危険物の届出と保管場所の基準を、消防法と危険物の規制に関する政令、自治体の火災予防条例の解説で確かめた内容でまとめます。開業時の届出の全体は板金塗装の開業に必要な届出・手続き一覧に、在庫の持ち方は塗料・シンナーの品薄と値上がりへの備えに載せています。

塗料・シンナーは危険物の第4類(引火性液体)

消防法別表第1は、危険物を第1類から第6類に分けています。塗料、シンナー、脱脂剤など、燃えやすい液体は第4類の引火性液体です。第4類の中は、引火点(火を近づけたときに燃え出す最低の温度)によって品名が分かれます。消防法別表第1の備考では、1気圧での性状で次のように定めています。

同じ「シンナー」でも、配合する溶剤によって引火点が変わり、品名も変わります。製品のSDS(安全データシート)の「適用法令」の欄に「消防法 第4類 第1石油類 非水溶性液体」のように書かれているので、手持ちの製品ごとに書き出しておきます。

塗料類で危険物から外れるもの

第2石油類から第4石油類の定義には「塗料類その他の物品であつて、組成等を勘案して総務省令で定めるものを除く」とあります。危険物の規制に関する規則第1条の3では、第2石油類について可燃性液体量が40パーセント以下で引火点が40度以上(燃焼点が60度未満のものを除く)、第3石油類と第4石油類について可燃性液体量が40パーセント以下のものを除くと定めています。水分の多い水性塗料などでは、この規定で危険物に当たらない製品もあります。判断はSDSの記載によります。

塗料・シンナーの品名は引火点で決まり、SDSの適用法令欄に書いてある

塗料やシンナーは消防法別表第1の第4類危険物(引火性液体)で、品名は1気圧での引火点で分かれます。引火点21度未満が第1石油類、21度以上70度未満が第2石油類、70度以上200度未満が第3石油類で、イソプロピルアルコールなど炭素数1〜3の飽和一価アルコールはアルコール類です。同じシンナーでも配合によって品名が変わるため、製品ごとにSDSの適用法令欄で「第4類 第1石油類 非水溶性液体」のような記載を確かめます。可燃性液体量が40パーセント以下の塗料類は、条件によって第2〜第4石油類から外れます(危険物の規制に関する規則第1条の3)。水性塗料が危険物に当たるかも、この規定とSDSで判断します。

危険物の指定数量の一覧(第4類)

指定数量は、危険物の規制に関する政令別表第3で品名と性質ごとに決まっています。第4類では、水に溶ける「水溶性液体」は、溶けない「非水溶性液体」の2倍の量が指定数量です。

第4類の品名 性質 指定数量 5分の1(少量危険物の下限)
特殊引火物 - 50リットル 10リットル
第1石油類 非水溶性液体 200リットル 40リットル
水溶性液体 400リットル 80リットル
アルコール類 - 400リットル 80リットル
第2石油類 非水溶性液体 1,000リットル 200リットル
水溶性液体 2,000リットル 400リットル
第3石油類 非水溶性液体 2,000リットル 400リットル
水溶性液体 4,000リットル 800リットル
第4石油類 - 6,000リットル 1,200リットル
動植物油類 - 10,000リットル 2,000リットル

鈑金塗装工場で量が多くなりやすいのは、第1石油類の非水溶性液体に当たるシンナーや溶剤系塗料です。一斗缶(16〜18リットル)を3缶置けば、それだけで40リットルを超えます。

第1石油類(非水溶性)の指定数量は200リットル、40リットルから少量危険物

危険物の指定数量は、危険物の規制に関する政令別表第3で品名と性質ごとに決まっています。塗料用シンナーや溶剤系塗料に多い第4類第1石油類の非水溶性液体は200リットル、水溶性液体とアルコール類は400リットル、第2石油類は非水溶性1,000リットル・水溶性2,000リットル、第3石油類は非水溶性2,000リットル・水溶性4,000リットルです。指定数量の5分の1以上は少量危険物になるので、第1石油類の非水溶性なら40リットルが境目です。一斗缶3缶で超える量なので、開業時にシンナーをまとめ買いする予定がある鈑金塗装工場は、置き場所を決める前に品名ごとの合計量を計算しておくと、消防署との相談が早く進みます。

品名の違う塗料・シンナーを置くときの倍数の計算

実際の工場には、シンナー、塗料、硬化剤、脱脂剤と、品名の違う物が並びます。消防法第10条第2項では、品名や指定数量の違う危険物を同じ場所で貯蔵・取り扱う場合、それぞれの数量を指定数量で割った値(倍数)を足し、合計が1以上なら指定数量以上とみなします。

計算の例

次のような在庫を、同じ建物の中に置くとします(品名は例で、実際はSDSで確かめます)。

合計0.306は0.2以上1未満なので、この在庫は少量危険物です。シンナーを1缶減らしても0.226で、まだ届出の対象です。逆に、シンナーの在庫を増やして合計が1に届けば、許可を受けた施設が必要になります。

「同じ場所」の範囲

合算する範囲は、屋内では原則として建築物ごとです。岐阜市の運用基準では、危険物を取り扱う設備の周囲に幅3メートル以上の空地がある場合や、不燃材料の床・壁で区画されている場合などに、場所ごとに分けて数えられる例を示しています。塗料庫と塗装ブースを分けて数えられるかは、所轄の消防署の判断です。

倍数の合計が0.2以上で少量危険物、1以上で許可施設

品名の違う塗料やシンナーを同じ場所に置くときは、品名ごとに「量÷指定数量」を出して合計します(消防法第10条第2項)。第1石油類のシンナー32リットル(0.16)と溶剤系塗料20リットル(0.10)、第2石油類の硬化剤10リットル(0.01)と脱脂剤36リットル(0.036)なら合計0.306で、0.2以上1未満の少量危険物です。合計が1以上になれば指定数量以上とみなされ、許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所でなければ扱えません。合算の範囲は屋内では原則として建築物ごとで、空地や不燃区画があれば分けられる場合があります(岐阜市の運用基準)。開業前に、置く予定の量を品名別に表にして消防署に見せると話が早く進みます。

少量危険物の届出と保管場所の基準

指定数量未満の危険物の扱いは、消防法第9条の4により市町村の火災予防条例で決められています。消防庁の検討会資料にある「消防法の危険物規制の概要」でも、指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物(少量危険物)の貯蔵・取扱いの基準は各市町村の火災予防条例で定められており、管轄の消防本部へ届出が必要と説明されています。届出の期限や様式は市町村ごとに違うので、所轄の消防署で確かめてください。

指定数量の5分の1未満でも守る基準

届出のいらない量でも、基準がなくなるわけではありません。札幌市火災予防条例第35条は、指定数量未満のすべての危険物について、防火上安全な場所で扱う、火気を使わない、整理と清掃をする、漏れ・あふれ・飛散を防ぐ、容器の転倒や落下を防ぐ、などを定めています。

少量危険物の場所に求められる主な基準(札幌市の例)

条文の番号は市町村によって違いますが、内容は火災予防条例(例)にならったものがほとんどです。サンダーやスポット溶接の火花が出る作業場と、塗料庫の位置関係は、レイアウトを決める段階で考えておきます。

有機溶剤中毒予防規則の貯蔵のルール

消防法とは別に、有機溶剤中毒予防規則第35条は、有機溶剤等を屋内に貯蔵するとき、ふたや栓をした堅固な容器を使い、関係者以外が立ち入れない設備と、蒸気を屋外へ出す設備を設けるよう定めています。空容器は密閉するか、屋外の一定の場所に集めます(第36条)。

少量危険物は市町村条例で届出、標識・掲示板と区画した塗装場所が要る

少量危険物(指定数量の5分の1以上指定数量未満)の貯蔵・取扱いは、消防法第9条の4にもとづく市町村の火災予防条例で、管轄の消防本部への届出が求められています。札幌市の条例では、標識と、危険物の類・品名・最大数量・防火に必要な事項を書いた掲示板の設置、吹付塗装を防火上有効な隔壁で区画された場所など安全な場所で行うこと、容器の積み重ねを3メートルまでにすることなどを定めています。5分の1未満でも、火気を使わない、漏れや転倒を防ぐといった基準は残ります。屋内で有機溶剤等を貯蔵するなら、有機則第35条の立入防止と排気の設備も必要です。届出の期限と様式は所轄の消防署で確かめます。

指定数量以上の塗料・シンナーを扱う場合

倍数の合計が1以上になると、消防法第10条により、許可を受けた製造所、貯蔵所、取扱所以外の場所では貯蔵・取扱いができません。設置には同法第11条にもとづく市町村長などの許可が必要で、建物の構造や保有空地、消火設備などの基準を満たす施設を用意することになります。10日以内の仮貯蔵・仮取扱いには消防長または消防署長の承認という例外がありますが、日常の在庫には使えません。

鈑金塗装工場の規模では、在庫を少量危険物の範囲に収めて、仕入れの回数で調整するほうが現実的です。仕入れ先を分けておくと、在庫を増やさずに品切れを避けやすくなります。用途地域による塗料の吹付の制限は、板金塗装で開業するにはと届出の記事で確かめてください。

指定数量以上は許可施設が必要、在庫を少量危険物の範囲に収めるのが現実的

塗料やシンナーの倍数の合計が1以上になると、消防法第10条により、許可を受けた製造所・貯蔵所・取扱所以外では貯蔵も取扱いもできず、施設の設置には同法第11条の許可が必要です。許可施設には建物の構造、保有空地、消火設備などの技術上の基準がかかり、開業したばかりの鈑金塗装工場が新たに用意するのは負担が大きい手続きです。所轄の消防長や消防署長の承認で10日以内の仮貯蔵・仮取扱いができる例外もありますが、日々の在庫の置き場には使えません。シンナーは第1石油類の非水溶性なら200リットルで指定数量に届くので、発注の単位と回数を決めて、在庫の上限を倍数0.2〜1未満の範囲に収めておくと管理しやすくなります。

よくある質問

シンナーの一斗缶を2缶置くだけでも届出が必要ですか?

第1石油類の非水溶性液体なら、2缶(32〜36リットル)では40リットルに届きません。ただし塗料や硬化剤など他の危険物と倍数を合計して0.2以上になれば届出の対象です。合計で判断してください。

水性塗料も危険物の量に数えますか?

製品によります。可燃性液体量が40パーセント以下の塗料類は、条件によって第2〜第4石油類から外れます(危険物の規制に関する規則第1条の3)。SDSの適用法令欄で確かめてください。詳しくは自動車補修の水性塗料で説明しています。

少量危険物の届出はいつまでに出せばよいですか?

期限や様式は市町村の火災予防条例で決まっていて、地域ごとに違います。塗料を搬入する前、設備を入れる前の段階で所轄の消防署に相談してください。

塗料の在庫管理は整備ソフトでできますか?

自動車整備ソフトは顧客・車両・見積・請求の管理が中心で、危険物の数量管理は品名別の表で別に持つのが一般的です。整備ソフト おすすめを探すときは、塗料の使用量を見積や伝票に残せるかも確かめておきましょう。鈑金工場の業務管理システムもご覧ください。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月24日時点で公表資料を確認したものです。許認可や法令の個別の判断は、所管の官庁・自治体・専門家にご確認ください。

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