自動車鈑金塗装の開業支援 > 開業コラム > リサイクルパーツの仕入れ方|鈑金工場が知る自動車リサイクル法と品質
バンパーやフェンダー、ドア、ランプ類の交換が多い鈑金工場にとって、リサイクルパーツ(リサイクル部品)は修理代を抑える手段として外せません。一方で、開業したばかりだと「どこから仕入れるか」「品質はどう確かめるか」「お客様にどう説明するか」が決まっていないことが多いはずです。この記事では、環境省と国土交通省の資料、日本損害保険協会と日本自動車リサイクル部品協議会の公表内容をもとに、自動車リサイクル法の仕組みから、仕入れ先の選び方、保証の目安、お客様の同意の取り方までを順に整理します。
リサイクルパーツは、使用済自動車から取り外した部品を、品質を確かめたうえで商品にした再利用部品の総称です。国土交通省の資料では、経済産業省の平成14年度の調査で提案された用語として、リサイクル部品をリユース部品とリビルト部品に分けています。品質確認をしないまま再利用される部品は「解体部品」と呼び、リサイクル部品とは区別しています。
| 種類 | 中身 | 鈑金工場でよく使う例 |
|---|---|---|
| リユース部品 | 取り外した部品を分解せず、目視や現車・テスターで点検し、清掃・美化して商品にしたもの | バンパー、フェンダー、ドア、ボンネット、ランプ、ガラス |
| リビルト部品 | 摩耗・劣化した構成部品を新品と交換して組み直し、テスターで品質を確かめたもの | オルタネーター、スターター、ドライブシャフトなど |
| 解体部品 | 品質確認などを通さず、取り外してそのまま再利用される部品 | リサイクル部品には含まれない |
同じ資料では、リユース部品の代表的な外装部品として、バンパー、フェンダー、ランプ、ドア、ガラス、ボンネット、トランク、グリルなどが挙げられています。鈑金工場が扱う交換部品の多くは、このリユース部品です。一方、エンジンやトランスミッションなどの機能部品は、整備の仕事とも重なる領域です。
リユース部品とリビルト部品を分けて考える理由
リユース部品とリビルト部品は、どちらもリサイクルパーツですが、商品になるまでの手の入れ方が違います。リユース部品は分解せずに点検と清掃をしたもの、リビルト部品は摩耗した構成部品を新品に替えて組み直したものです。鈑金工場が多く使うバンパーやドア、フェンダーはリユース部品で、確かめるべきなのは傷やへこみ、色、取付部の割れといった外観と形の状態です。オルタネーターやコンプレッサーのような電装・機能部品は、動作の確認と保証の内容が判断の中心になります。国土交通省の資料では、使用済自動車から重量ベースで20〜30%の部品がリサイクル部品として再利用されているとされています。部品の種類ごとに確かめる点を分けておくと、仕入れの判断が早くなります。
リサイクルパーツは、自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)の流れの中から生まれます。この法律は平成14年に制定され、平成17年1月から完全施行されています。環境省の説明では、関係する事業者の役割が次のように分けられています。
| 事業者 | 役割 | 手続き |
|---|---|---|
| 引取業者 | 自動車の所有者から使用済自動車を引き取り、リサイクルの流れに乗せる入口 | 都道府県知事等の登録制(自動車販売、整備業者等を想定) |
| フロン類回収業者 | カーエアコンのフロン類を回収し、自動車製造業者等に引き渡す | 都道府県知事等の登録制 |
| 解体業者 | エアバッグ類を回収し、エンジンやドアなど有用な部品を取り外す | 都道府県知事等の許可制 |
| 破砕業者 | 解体後の車を破砕し、シュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡す | 都道府県知事等の許可制 |
| 自動車製造業者等 | フロン類・エアバッグ類・シュレッダーダストを引き取り、リサイクル(フロン類は破壊)する |
部品を外すのは解体業者です。公益財団法人自動車リサイクル促進センターの説明でも、解体事業者がエアバッグ類を回収したあと、エンジン、ドアなどの有用な部品・部材を取り除き、残りを破砕事業者に引き渡す流れが示されています。使用済自動車は電子マニフェストと呼ばれる仕組みで、事業者間の引取り・引渡しが1台ずつ報告されます。
リサイクル料金と鈑金工場の関係
自動車リサイクル法のリサイクル料金は、シュレッダーダストとエアバッグ類のリサイクル、フロン類の破壊に使われる費用です。環境省によると、料金は原則として新車購入時に所有者が負担し、一般の車両で6,000円〜18,000円程度、公益財団法人自動車リサイクル促進センターが資金管理法人として管理しています。つまり、鈑金工場がリサイクルパーツを仕入れるときに、このリサイクル料金を別に払う仕組みではありません。ただし、法律の目的には再生部品の十分な利用が含まれ、国土交通省の資料によると、自動車の所有者の責務として、修理のときに使用済自動車の再資源化で得られた物を使うよう努めることも定められています。リサイクルパーツを提案することは、お客様がこの責務を果たす手助けにもなります。
国土交通省の資料によると、リサイクル部品に取り組む解体業者が集まり、互いの在庫を共有するネットワークがつくられています。このほか、解体業者が地域の整備業者や板金業者に直接売る場合や、部品商を通じて売る場合もあります。開業したばかりの鈑金工場は、1つのルートに絞らず、在庫の多さと連絡の取りやすさで使い分けると欠品で作業が止まりにくくなります。
日本カーネットの開業パックで提案しているリサイクルパーツサービスは、リサイクル部品の総在庫点数が約120万点で、バンパー、フェンダー、ドア、ランプ類などの外装部品やガラス系パーツを扱っています。Webショップで検索して購入できるほか、電話で相談しながら購入することもできます。仕入れルートの確保は、日本カーネットが開業に必要となるもの10項目の1つに挙げている準備です。
仕入れ先を決める前に確かめる5項目
リサイクルパーツの仕入れ先は、価格だけで選ぶと、届いた部品の色や傷が想定と違って使えず、作業が止まることがあります。確かめたいのは、在庫の探しやすさ、部品の状態を写真と文字でどこまで示しているか、保証の期間と内容、届くまでの日数と送料、電話で相談できるかの5つです。鈑金工場ではバンパーやドアのような大きな外装部品が中心になるため、送料と配送の日数は見積の金額と納期に直接響きます。最初の数件は同じ部品を複数の仕入れ先で探し、写真と実物の差、届くまでの日数を記録しておくと、自社に合う仕入れ先がはっきりします。見積に部品の値段を載せる手順は板金塗装の見積の作り方の記事で扱っています。
リサイクルパーツの品質は1点ごとに違います。新品と同じ扱いはできません。国土交通省の資料では、在庫共有ネットワークの中で品質基準がつくられ、基準に基づく品質検査の結果が「検査証」などで解体業者から整備業者に渡されているとしています。保証された部品であることを示すため、品質保証シールを貼る取り組みも紹介されています。
一般社団法人日本自動車リサイクル部品協議会は、リユース部品の保証基準を共通化し、一般消費者に示す内容として次の期間を公表しています。実際の保証は仕入れ先ごとに決まっているので、注文の前に必ず確かめてください。
| 部品の区分 | 保証期間(協議会の共通基準) |
|---|---|
| 主要機能部品(エンジン・ミッション) | 6ヶ月。ただし5,000kmを超えた場合を除く |
| 準主要機能部品(コンプレッサー、セルモーター、オルタネーターなど7品目) | 3ヶ月。ただし3,000kmを超えた場合を除く |
| 上記以外のエンジン関連・トランスミッション関連・足回り・電装部品 | 1ヶ月。ただし1,000km以内 |
| 外装部品、内装部品 | 現品確認期間 1週間 |
外装部品は届いたらすぐ確かめる
日本自動車リサイクル部品協議会の共通基準では、外装部品と内装部品の保証は「現品確認期間1週間」で、内容は代品交換または返金(返品)の受付です。鈑金工場が多く仕入れるバンパーやフェンダー、ドアは外装部品なので、届いたら1週間のうちに状態を確かめる必要があります。塗装の直前まで箱を開けずに置いておくと、取付部の割れや見えにくいへこみに気づいたときには期間が過ぎていることがあります。届いた日に、写真との違い、取付部やクリップ穴の割れ、裏側の補修跡、色番号を確かめ、合わせて車に仮合わせまでしておくと安心です。仕入れ先ごとの保証が協議会の基準と違う場合もあるので、注文時の画面や納品書で条件を確かめておきます。
リサイクルパーツを使うかどうかは、修理を頼むお客様が決めることです。国土交通省の資料では、環境省の実証事業で行った消費者アンケートで、29%がリサイクル部品に品質面の不安を指摘したとされています。品質検査の情報が整備業者には渡っていても、自動車の所有者には十分に伝わっていないという課題も挙げられています。
お客様に説明するときは、見積を新品部品の案とリサイクルパーツの案の2つ並べ、違いを次のように伝えると判断してもらいやすくなります。
同意をもらったら、見積書や作業指示書に「リサイクル部品使用」と書き、どの部品に使うかを残しておきます。口頭だけでは足りません。納車後に「新品だと思っていた」と言われたとき、確かめようがないからです。日本損害保険協会は、自動車関連団体と共同で、修理のときのリサイクル部品活用を呼びかけるキャンペーンを行っています。廃棄物とCO2の排出を減らすという目的も、お客様に伝える材料になります。
同意を書面に残す理由と書き方
リサイクルパーツを使う修理では、お客様の同意を見積書や作業指示書に書き残しておくことが、後のトラブルを防ぐ一番の手段です。記載するのは、リサイクル部品を使う部品の名前、新品との金額の差、保証の期間、説明した日付の4点で足ります。環境省の実証事業のアンケートでは29%がリサイクル部品の品質に不安を示しており、納車後に部品の小さな傷を見て不満を持たれる場面は起こりえます。書面に「外装のリサイクル部品で、色は塗装して合わせる」と残しておけば、説明した内容をお客様と一緒に確かめられます。保険修理で使う場合は、損害保険会社との協定の内容も合わせて記録しておきます。
リサイクルパーツを買って使うだけなら、自動車リサイクル法の許可や登録は求められていません。注意が必要なのは、鈑金工場が自分で使用済自動車から部品を外したり、お客様の廃車を引き取ったりする場合です。
修理の見込みがない事故車を「部品取りに置いておく」という話は、開業したばかりの工場にも持ち込まれます。よくある相談です。使用済自動車にあたる車から部品を外す行為は解体業の許可の対象になるので、扱いに迷う場合は都道府県や保健所設置市の担当窓口に確かめてから進めてください。修理中にお客様へ貸す車の準備は鈑金工場の代車の準備の記事で扱っています。開業時の届出や資格の全体像は鈑金塗装を開業するにはの記事にまとめています。
「部品取り車」を置く前に確かめること
鈑金工場に修理不能の事故車が持ち込まれ、「部品取りに使ってよい」と言われることがあります。環境省は、使用済自動車から再利用部品などを取り外すには、個人で行う場合でも都道府県知事等から解体業の許可を受けることが必要だと説明しています。許可なく行った場合、自動車リサイクル法では1年以下の懲役又は50万円以下の罰金、廃棄物処理法の許可もなければ5年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金の対象になります。廃車として引き取るなら引取業者の登録が要ります。部品が必要なときは、許可を持つ解体業者が商品にしたリサイクルパーツを仕入れるほうが、法令の面でも品質の面でも確実です。
国土交通省の資料では、リサイクル部品をリユース部品とリビルト部品に分けています。リユース部品は分解せずに点検・清掃したもの、リビルト部品は摩耗した構成部品を新品と交換して組み直し、テスターで品質を確かめたものです。
商品として売られているリサイクルパーツを買って修理に使うだけなら、自動車リサイクル法の許可や登録は求められていません。使用済自動車から自分で部品を外す場合は解体業の許可、廃車を引き取る場合は引取業者の登録が要ります。
日本自動車リサイクル部品協議会の共通基準では、外装部品と内装部品は現品確認期間1週間で、代品交換または返金(返品)を受け付ける内容です。実際の保証は仕入れ先ごとに違うので、注文の前に確かめてください。
部品の仕入れと見積、納品書や請求書の作成をつなげて管理するなら、整備システム・車両販売システムを使う方法があります。整備システム・整備ソフト DREAM POWERは鈑金見積を取り込んで納品書を作り、合計請求書や売掛の管理まで扱えます。整備システム比較や整備ソフトのおすすめを探す段階では、リースなしで使えるか、安い月額で始められるかも比べておくと選びやすくなります。
使えます。日本損害保険協会は自動車関連団体と共同で、修理のときのリサイクル部品活用を呼びかけています。使うかどうかはお客様の同意が前提なので、新品との差を説明し、同意の内容を見積書などに残しておきます。
記載内容は2026年10月7日時点で公表資料を確認したものです。許認可や法令の個別の判断は、所管の官庁・自治体・専門家にご確認ください。
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