日本カーネットのおすすめサービス
自動車鈑金塗装の開業支援 > 開業コラム > 樹脂バンパーの修理|割れ・擦り傷・変形の直し方と交換の判断、センサー付きの注意
樹脂バンパーの修理は、擦り傷なら研いで塗り直し、割れなら樹脂溶接や補修材でつなぎ、変形なら熱を加えて押し戻す、というように損傷の種類で方法が分かれます。取付部が折れている、割れが長い、カメラやレーダーが付いているといった条件が重なると、補修より交換のほうが安く確実に済むこともあります。
この記事では、樹脂バンパーの損傷ごとの修理方法、補修と交換の判断、樹脂溶接とプライマーの扱い、センサー付きバンパーを外すときの注意を、鈑金工場の目線で整理します。センサー付きバンパーの扱いは、道路運送車両法施行規則と国土交通省の特定整備の問答集で確かめました。出典は記事の最後に載せています。
今の乗用車のバンパーは、ほとんどが樹脂です。多く使われているのはポリプロピレン(PP)系の樹脂で、ゴムの成分を混ぜて割れにくくしたものもあります。材質はバンパーの裏側に「>PP<」「>PP+EPDM<」のような記号で表示されていることが多く、これは国際規格ISO 11469の表示方式です。
材質を確かめる理由は2つ。一つは、樹脂溶接ではバンパーと同じ材質の溶接棒を使わないとつながらないこと。もう一つは、PP系の樹脂は塗料が密着しにくく、塗装の前に樹脂用のプライマーが要ることです。まず裏側を見ます。表示に合った材料をそろえるのが基本の段取りです。
樹脂バンパーの修理は裏側の材質表示を見るところから
樹脂バンパーとは、ポリプロピレン(PP)系などの樹脂で作られたバンパーのことで、今の乗用車の大半がこの方式です。材質はバンパーの裏側に「>PP<」「>PP+EPDM<」といった記号で表示されていることが多く、国際規格ISO 11469の表示の決まりに沿っています。修理の前にこの表示を確かめる理由は、樹脂溶接で同じ材質の溶接棒を使う必要があること、PP系は塗料が密着しにくく樹脂用のプライマーが要ることの2つです。材質を見ずに補修材や塗料を選ぶと、割れが再発したり、塗膜がはがれたりします。擦り傷、割れ、変形、取付部の破損という損傷の種類と材質の組み合わせで、補修の方法と材料が決まります。
損傷は4つに分けます。そう考えると、修理の方法と見積が立てやすくなります。
| 損傷 | 主な修理方法 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 擦り傷 | 傷を研いで平らにし、必要ならパテで埋めて塗装する | 素地まで削れたらプライマーが要る。ぼかしの範囲で塗装の面積が変わる |
| 割れ | 樹脂溶接、または樹脂用の補修材で裏からつなぎ、表を整えて塗装する | 割れの先端から伸びないよう処理する。材質に合った材料を使う |
| 変形・凹み | 熱を加えて柔らかくし、裏から押し戻す | 熱をかけすぎると表面が傷む。塗膜が割れていれば塗装も要る |
| 取付部の破損 | 補修用の部品や樹脂溶接で直すか、バンパーを交換する | 取付部が弱いと走行中に外れるおそれがある |
樹脂は温度に敏感です。冬の寒い作業場では硬く割れやすく、熱を加えるときは少しずつ温めて形を見ながら戻します。修理の後に塗装する場合、塗装の工程と設備は鋼板の板金塗装と同じで、塗装ブースと乾燥設備を使います。塗装ブースについては塗装ブースの選び方で説明しています。
擦り傷・割れ・変形・取付部の破損で修理方法が分かれる
樹脂バンパーの修理方法は、損傷の種類で4つに分かれます。擦り傷は傷を研いで平らにし、必要ならパテで埋めて塗装します。割れは樹脂溶接か樹脂用の補修材で裏側からつなぎ、表を整えて塗装します。変形や凹みは熱を加えて樹脂を柔らかくし、裏から押し戻します。取付部の破損は補修用の部品や樹脂溶接で直すか、直しても強度が足りないならバンパーごと交換します。どの方法でも、素地まで削れた部分には樹脂用のプライマーが要り、塗装の範囲は損傷の大きさとぼかしの取り方で変わります。樹脂は温度で性質が変わるため、寒い時期は作業場を温め、熱を加えるときは少しずつ形を見ながら戻すと、表面の傷みを防げます。
補修できる損傷でも、交換のほうがお客様にとって得になることがあります。見る点は5つです。
交換でも塗装代はかかります。新品のバンパーは塗装されていない状態で届くことが多く、塗装の費用はかかります。リサイクル部品で同じ色のバンパーが見つかれば、塗装なしか、部分的な塗装で済むこともあります。リサイクル部品の探し方はリサイクルパーツの仕入れ方を、見積の組み立て方は板金塗装の見積の作り方をご覧ください。
補修か交換かは「割れ・取付部・センサー・費用・部品」で決める
樹脂バンパーを補修するか交換するかは、割れの長さと場所、取付部の状態、センサーの有無、補修と交換の費用の比べ方、部品の入手のしやすさの5つで判断します。割れが長い、角や取付部にかかる、複数の取付部が折れているといった場合は、補修しても強度や仕上がりに不安が残るので交換を考えます。新品のバンパーは未塗装で届くことが多いため、交換でも塗装の費用はかかり、補修との差は部品代と工賃の差になります。同じ色のリサイクル部品が見つかれば、塗装を減らして費用を抑えられることがあります。お客様には、補修と交換の両方の見積を並べ、仕上がりと期間の違いを説明すると、納得して選んでもらえます。
樹脂溶接は、割れた部分とバンパーと同じ材質の溶接棒を熱で溶かし、一体にしてつなぐ方法です。熱風を使う機器や、熱したこてで溶かし込む機器があります。割れの裏側にV字の溝を彫って溶接棒を溶かし込み、さらに金属のメッシュやステープルを埋め込んで補強する方法もあります。
失敗の原因は、たいてい材質の違いと汚れです。材質を合わせる。汚れを落とす。この2つです。裏側の表示で材質を確かめ、合う溶接棒を選ぶこと、溶接する面の汚れや塗膜を落としてから作業することが基本です。
PP系の樹脂は塗料がはがれやすい。そのため、研いで素地が出た部分には、脱脂のあとで樹脂用のプライマー(密着剤)を塗ってから、サフェーサーや上塗りに進みます。新品も油断できません。成形のときの離型剤が表面に残っていることがあり、脱脂を丁寧に行います。塗料と溶剤の扱いは、塗料メーカーの仕様書に従ってください。塗料の仕入れについては塗料・シンナーの品薄と値上がりへの備えでもふれています。
樹脂溶接は材質合わせ、塗装はプライマーで密着させる
樹脂溶接とは、割れた樹脂バンパーと同じ材質の溶接棒を熱で溶かし込み、割れ目を一体にしてつなぐ補修方法です。熱風を使う機器や熱したこてを使う機器があり、裏側にV字の溝を彫って溶かし込んだり、金属のメッシュやステープルを埋めて補強したりします。失敗の原因の多くは材質の違いと汚れなので、裏側の材質表示に合う溶接棒を選び、溶接面の汚れと塗膜を落としてから作業します。塗装では、PP系の樹脂に塗料が密着しにくいため、研いで素地が出た部分に脱脂のうえ樹脂用のプライマーを塗り、それからサフェーサーと上塗りに進みます。新品のバンパーには離型剤が残っていることがあるので、脱脂を丁寧に行います。
前方を見るレーダーやカメラが付いたフロントバンパーは、外すだけで特定整備(電子制御装置整備)に当たる作業になります。道路運送車両法施行規則第3条第8号は、前方の状況を検知するセンサーが取り付けられた車体前部や窓ガラスの取り外しなどを電子制御装置整備と定めています。国土交通省の問答集では、センサーが付いていないバンパーの脱着は該当しない一方、センサー付きの車体前部(バンパ、グリル)を脱着したらエーミングが必要とされています。
ここは認証の話になります。電子制御装置整備は、認証を受けた工場でなければ事業として行えません。認証のない工場は、センサー付きのバンパーを外す修理を、認証工場への外注と組み合わせて受けることになります。エーミングと外注の考え方はエーミングと特定整備で、認証の取り方は認証工場とはで説明しています。
塗膜にも注意します。レーダーの前の部分は、補修の跡や塗膜の厚さがレーダーの働きに影響するおそれがあります。車によっては、メーカーの修理書でその範囲の補修や塗装の扱いが決められているので、作業の前に修理書を確かめます。どの車が電子制御装置整備の対象になるかは、自動車メーカーが作ったリストが国土交通省のホームページで公表されています。
レーダー付きのフロントバンパーは外すだけで電子制御装置整備
前方を見るレーダーやカメラが付いたフロントバンパーの脱着は、道路運送車両法施行規則第3条第8号の電子制御装置整備に当たり、2020年4月1日から認証を受けた工場でなければ事業として行えない作業になりました。国土交通省の特定整備の問答集は、センサーが付いていないバンパーの脱着は該当しないとする一方、センサー付きの車体前部を脱着した後はエーミングが必要だとしています。対象の車かどうかは、国土交通省が公表している自動車メーカーのリストで確かめられます。さらに、レーダーの前の部分は補修の跡や塗膜の厚さが働きに影響するおそれがあり、修理書で扱いが決められている車もあります。受付の段階でセンサーの有無を確かめ、外注が要るかを見積に反映させます。
開業準備や外注先との組み方のご相談は、お問い合わせフォームからどうぞ。ご相談は、自動車整備・自動車販売・自動車鈑金などの事業者様に限って受け付けています。
できます。多くの場合は樹脂溶接や樹脂用の補修材で直せます。ただし、割れが長い、角や取付部にかかる、複数の取付部が折れているといった場合は、交換のほうが確実なことがあります。
必要です。研いで素地が出た部分には欠かさず塗ります。PP系の樹脂は塗料が密着しにくいため、脱脂のあとで樹脂用のプライマーを塗ってから、サフェーサーと上塗りに進みます。使う材料は塗料メーカーの仕様書に従ってください。
国土交通省の特定整備の問答集では、前方をセンシングするカメラやレーダーが付いていないバンパーの脱着は、電子制御装置整備に該当しないとされています。
車ごとに違います。損傷と部品によって変わります。新品のバンパーは未塗装で届くことが多く、交換でも塗装の費用がかかります。補修の工賃と塗装、交換の部品代と塗装を並べて比べ、同じ色のリサイクル部品も探してみてください。
鈑金工場の見積と請求には、整備ソフトのほうが向いています。日本カーネットの整備システム・整備ソフト DREAM POWERは、顧客と車両の管理、見積・請求に使えます。中古車の販売も行う工場なら、車両販売システムや車販ソフトと、自動車整備ソフトの顧客情報をどうつなぐかも選ぶときに確かめてください。
記載内容は2026年10月24日時点で公表資料を確認したものです。修理の方法は自動車メーカーの修理書と材料メーカーの仕様書に従い、許認可の個別の判断は所轄の運輸支局などにご確認ください。
自動車鈑金塗装の開業、まず何から始めますか?
代車の準備・中古設備・キャッシュレス決済・リサイクルパーツの仕入先・ホームページ・業務管理システムまで、開業に必要なサービスをまとめてご提案します。自動車業界一本で20年以上のノウハウをもとに、ご相談は無料でお受けしています。
無料で相談・資料請求する※ご相談受付は、自動車整備/自動車販売/自動車鈑金などの事業者様のみとさせていただきます。
自動車鈑金塗装のスタート支援